ジャカード織生地が出来るまで  vol.1 ジャカード織とは? ~200年と100年の歴史~

ジャカード織生地」とはどのような生地か、皆さんはご存知でしょうか。ジャカード織のような「織物」は、布地の上から絵柄を印刷した「プリント生地」と異なり、色や柄のデザインが11本の糸の構成により、生地自体に織り込まれているものを指します。

織物は使う機械によって、大きく「ジャカード織」「ドビー織」の2つに分かれます。「ジャカード織」は、自然な立体感や高級感の表現が可能で、婦人服や紳士用ジャケット等によく使用され「ドビー織」は、無地や反復する小模様が特徴で、ワイシャツや子供服などの実用着に使用されます。

そして、ジャカード織にもドビー織にも、それぞれ使う糸や織る組織の組み合わせによって、無数の織物が存在します。

ジャカード織生地は、1801フランスの発明家ジョゼフ・マリー・ジャカール(英語読み:ジャカード)氏によって発明された自動織機であるジャカード織機を使って織られた織物です。その後ジャカード織機は、1873年にフランスやオーストリアから初めて日本(京都・西陣)に導入されました。

1877年以降には、当社のある桐生へも導入され、その後も桐生を中継地として改良されたジャカード織機が全国各地に広まっていきました。このジャカード織機普及の流れの中で、当社も「須裁織物工業」として1906年に創業し、機屋としての歩みを始めました。以降当社では、創業から100余年、そのときどきの時代背景や流行によって用途やデザインは変われど、3代に渡ってジャカード織生地を織り続けています

出来上がってしまえば1枚の布地なのですが、このジャカード織生地が織り上がるまでには数多くの工程を経る必要があり、その工程にはそれぞれ専門の職人が携わっています。これらの工程の一部は、近代化・効率化の流れの中でデジタル化されたり、小さなロボットに置き換えられたりはしているものの、原理的には実は100年前とあまり変わらない技法が今でも引き継がれており、ジャカード織機のパンチカードの仕組みはコンピューターにも用いられています。

200年前にフランスで始まり、100年前に群馬県・桐生の当社でも織り始めた「ジャカード織生地」。この先将来、ジャカード織の技術がどう変化していくのか、はたまたずっと変化しないのか分かりませんが、今現在行われているジャカード織生地の製作工程について、こちらで少しずつご紹介していきたいと思います。

次回より、「ジャカード織機を使って織られるジャカード織生地が出来るまで」の流れをご紹介していきます。

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